弁理士は、弁護士、税理士、司法書士、行政書士等の士業の一種です。そして、法律上で「弁理士は、他人の求めに応じ、特許…出願に関する特許庁における手続き…についての代理…その他の事務を行うことを業とする。」(弁理士法第4条)と規定されています。要は、弁理士は、特許出願等の代理人になること等を許可されている職業です。そして、特許等は主に事業(=お金儲け)において活用されるものですから、弁理士はお金儲けの助っ人的な存在です。
弁理士になる最も普通の方法は、年に一度行われる弁理士試験に合格することです。この弁理士試験の平成29年度の合格者の地方別の内訳を下記の表に示します。
(出典:https://www.jpo.go.jp/oshirase/benrishi/shiken/h29toukei/pdf/h29_saisyu_goukakusha.pdf)
上記表のように、平成29年度に255人が試験に合格した内で、東北地方の方はたった「1名」(宮城の方)です。表中の括弧書きは平成28年度の合格者ですが、ここでも東北地方からの合格者は「3名」(宮城、岩手、青森の方)です。ちなみに、福島県からの最後の合格者が出たのは、平成23年度です。
弁理士だけが知財活用でなく、知財活用だけが事業ではありません。しかし、弁理士が事業(お金儲け)の助っ人的な存在であるところ、福島はもちろん東北地方全体でもごく僅かな合格者しか輩出しないことには何らか地域としての問題を孕むと感じます。
上記のような状況を生じる本質的な原因は、東北地方(他の地方も同様ですが)の事業者の知財に関する関心が低いために、その従業者の方が特許に接する機会(必要?)の少ないことにあると思います。それに加えて、私は地方には弁理士試験の準備に不可欠な「機会・手段」が決定的に不足していることが原因と思っています。
弁理士試験は主に法律の試験ですが、受験者の8~9割は理系出身です。また、弁護士における法科大学院のような養成機関もありません。つまり、典型的な弁理士試験の受験者(私もまさにそうでした)は理系であり、通常に職業人として働きながら馴染みのない法律を独学で勉強した方です。
上記の状況だけを考慮すると弁理士試験のハードルは非常に高いのですが、首都圏では多少事情が変わってきます。首都圏には弁理士試験の予備校のようなものがいくつか存在します。この予備校に通うことで入門的な知識を学びながら試験の勉強法を理解することができるのですが、何より貴重なのはこの予備校で出会う受験仲間です。私も受験仲間とゼミを作って、「どうして我々は合格しないのか?」等とぼやきながら勉強しましたが、この仲間がいなければ現在の私の職業は違っていたと思います。仲間と協力することで効率が上がり、苦労を楽しみに変えることができます。
しかしながら、地方では上記のような受験の準備を行う機会が決定的に不足していて、これがネット等では補えないことは上記合格者数の分布が示すところと思います。
私自身の弁理士受験用の知識は既に薄れていて具体的な受験指導は困難ですが、弁理士がどのような仕事であり、何をどの程度に勉強すればよいか等のご紹介は可能です。そして、何より弁理士を目指す方が貴重な受験仲間と出会う場をご提供できると思います。
弁理士は、他に専門があってこそ価値のある仕事ができるため、むしろ強烈な中途入社(又は、転職組?)ほど望ましいという少し変わった職業です。そして、地方にももう少し弁理士が増えて相互に切磋琢磨する状況ができれば、その業務の範囲も広がって地域振興にも役立てると感じています。
弁理士を目指されようとお考えの方は、当HPに記載のアドレスまでご連絡を頂ければ、適時にご返事をいたします。もう少し福島(東北)に知財活用に長けた人材が増えるよう、お手伝いをしたいと思います。