大学等の研究機関による知財活用が推奨されるようになってから約15年が経過しました。
この間、私自身も大学発明と特許のあるべき関係に悩みつつ、大学で特許のマネージメントをさせて頂いておりました。そして、一連の変化には未だに解決されていない問題や矛盾等も存在しますが、結果として大学が自己の手段として特許を活用し得ることを社会的に認める過程であったと捉えるべきと考えています。実際に、大学における研究成果を実用化して社会還元するためには特許の活用が不可欠(又は、有益)であることからも、旧来の認識は変える必要があったものと思います。
しかしながら、大学等が積極的に特許を活用しようとした場合にも、依然として大学等が特許の活用や管理等に充てられる人員には限りがあり、このことが知財活用の活性化を阻害する原因になっていると感じています。
企業においては、特許等の活用を専門的に行う「知財部員」と呼ばれる人材が必ず存在します。この知財部員の役割は知財の活用によって事業に貢献することであり、そのために
“研究者の目線の発明” を “事業にとって好ましい発明” に再構成して特許を取得し、また “事業の優位性確保のために必要な特許を取得するための発明”
の創出を研究者に提案する等して、事業に貢献する「特許網」の形成・維持などを担っています。
大学の発明においても、その発明の実用化や、その過程における各種企業との連携や研究資金の調達等のためには、単に発明届けに記載された発明についての特許を取得するのでなく、活用の出口を見据えた特許出願等をする必要性があります。このため上記企業の「知財部員」の役割が大学内にも求められますが、現状は必ずしも充足されていないように感じています。
また、学術研究の成果として生じる大学発明は、企業における「特許を取るための発明」と比べて多少異なる属性を含んでいるために、ある種の「発明の翻訳」のような作業が必要になってきますが、この点でも大学発明の扱いに長けた専門的な知財部員の存在が望まれます。
更に、特許の活用以外においても、近年は公的な研究資金の獲得の際などに、特許に関する専門知識が必要とされる機会が増加しており、研究者の先生方や事務方の負担が増大しているように感じています。
大学で特許のマネージメントをさせて頂いていた際、特に大学発明の実用化に関しての社会的な必要性や、そこに「知財部員」としてご協力する楽しさを感じさせて頂きました。そして、大学の知財活用の活性化・高度化のためには、企業における研究開発部門と同様に、大学組織内にも特許に関する特有の考え方や知識を導入することが必要と感じて実践してきました。
現在、私は特許出願等を主な業務とする外部の弁理士ですが、特に大学発明に関してはこれまでのように知財部員的な立場でご協力をさせて頂き、一つでも多くの大学発明の実用化に携わることができればと考えております。
以下にご説明する措置はこれまでに大学で実践した内容の一部ですが、依然として大学の知財活用において有益、且つ必要と感じるため、ご希望に応じてご提供させて頂きたいと考えています。