大学等の事務部門の方へ


 平成15年から開始された「大学知的財産本部整備事業」等を契機にして、大学等による知的財産の活用が推奨・推進されてきました。その中で大学発明が原則として「機関帰属」とされた結果、大学の事務部門が個別の大学発明の管理責任と共に、知的財産の活用事業の全体について実質的な責任を負担することとなりました。
 しかしながら、知的財産(権)に関係する法規やノウハウは複雑であり、一朝一夕に大学組織がこれを吸収して活用するには高いハードルが存在します。また、「(知的財産の)活用」という言葉は、外部(具体的には「企業」)から大学が「収益」をするという意味であり、それまで実質的な収益事業を行ったことがない大学組織に対して、そもそもの価値観の変更を迫るものであったように考えています。
 また、大学に求められている知財活用の事業は、そもそも見習うべき前例のない新しい事業であると考えられます。企業における知的財産の活用はその経営に直結するものであって、発明等の創出から権利取得、活用の全てについての責任を経営部門が負担することに何の矛盾もありません。一方、大学発明は各研究者の関心に基づいて行われる研究活動の成果として生じるものであって、大学の事務部門が大学発明の創出を管理することはもとより困難です(大学の存在意義からすれば、管理すべきでもありません。)。つまり、大学の事務部門は自ら管理できない要素を含む事業についての責任を負担しなければならず、この点で企業における知財活用の考え方やノウハウを適用することも困難であって、全く新しい事業モデルの創出が必要であるものと思います。
 私には、大学の知財活用を円滑に行うための仕組みや、その中で大学の事務部門が果たすべき役割がどのようであるかは分かりません。しかしながら、現実の問題として大学の事務部門の面前には個々の案件が存在し、これらを良好に処置する必要があると思います。
 このため、大学の事務部門の方に知的財産に関係する業務をより好ましく行って頂くための補助として、以下のような業務の業務をご提供いたしますので、必要に応じてお問い合わせを頂ければと存じます。なお、以下には典型的な内容を挙げますが、他にもご希望の内容がありましたらご相談下さい。

(1)特許に関する一般的な事務に不可欠な実践的知識についての講座等
 特許出願に関する事務や、特許が関係する申請書類等に関する事務に関して、特許には特有の専門用語や規則などが多数存在するため、これらを日常業務の傍らで書籍などから習得することは非常に困難と思います。
 このため、基本的な特許制度や留意すべきキーワードの解説等をさせて頂くと共に、実際に習得する必要のある事項に関して具体的にご相談等をさせて頂きます。

(2)特許が関係する契約書等において必要とされる知識についての講座等
 特許出願等の場合と違って、特許の活用の際には必ず「相手方」が存在し、その契約書等においてはより正確な知識が必要であると共に、相手方との駆け引きのポイントや落とし所の相場観等についても知っておくことが必要となります。また、特許に関係した契約書には特有の用語が含まれ、その中には習慣的に使用されるものであって意味合いが客観的に明らかでないために、争いの原因となるものも含まれます。
 このため、実際の契約書等について個別の内容のご説明をすると共に、その目的等に応じて交渉の際にポイントとなる事項や、落とし所についてのご相談をさせて頂きます。