「知的財産(権)」は「無体財産(権)」とも呼ばれ、これは「有体財産(権)」の反対語です。そして、この「有体財産」は、お金や土地・建物、宝石等であって、ごく普通に「財産」と呼ばれるものです
日常生活において「財産」である「有体物」を他人から守るには、(土地等の不動産を除けば)頑丈な金庫に保管すれば目的を達することができます。そして、仮に泥棒に遭っても、「私の
“スイス製の時計(型式:コレコレ)” が盗まれた」とお巡りさんに訴えれば泥棒を捕まえてくれることになっています。
一方、例えば、新発明の “絶対焦げ付かないフライパン” の製造・販売によって得られる利益を他人から守るためには、上記の方法は使えません。そのフライパンを金庫に保管したのでは利益が得られないためです。そして、このような問題を解消してくれるのが「特許」であって、そのフライパンについての特許権を取得することで、誰かの
“マネ(模倣)” が防止できることは皆さんがご存じのとおりです。
特許でフライパンの模倣品を防止する際の考え方は、そのフライパンの材料や構造等についての情報を「財産」と見なして、それを “マネ(模倣)” する行為を法律上で犯罪と定義することで、実体の無い「技術」を時計のような「有体財産」と同様に扱えるようにするものであり、ここで「無体財産(権)」との言葉が登場します。
ただし、元々は実体の無い「技術」等を「有体財産」と同様に扱うためには、いろいろな問題を解決する必要があります。例えば、どのような「技術」を「財産」と見なすべきか、どのような行為がその「財産」を侵害するか等の全てを法律上の人工的な
“決めごと” で対処する必要があります。このような措置は、例えば美人のアンドロイドを作るのと同様に容易でなく、できた法律もややこしいことになっています。そして、このことが知的財産の活用等のハードルになっていると思います。
前置きが長くなったのですが、この「よこしま(な)特許事務所」(=へそ曲がり特許事務所)では知的財産の考え方を身近に感じて頂くために、共感の得やすいトピックスを題材にして、(厳密さや正確さは多少犠牲にして)知的財産制度の各部分について「へー、ソコはそうなっているんだー」と感じて頂ける記事を随時掲載して行きたいと思います。
なお、上記のとおり、「よこしま(な)特許事務所」の記事は厳密さや正確さに欠けるものであり、また異なる考え方が存在する場合もあると思いますが、予めそのような事情を了承して頂いた上で参考にして頂ければと思います。